見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~

「伊織くん、乃愛、いらっしゃい!寒かったでしょ~、さあさあ上がって!」

「ただいま~」
「こんにちは、お邪魔します」

札幌の実家にお昼前に着くと、お母さんが出迎えてくれた。

今日はおとなしいお出迎えだと思ったら、ちょうどみんな出掛けているみたい。

「もうお昼だし、そろそろ帰ってくると思うんだけどねぇ」
そうお母さんが言ったそばから。

ガラガラガラ…
「ただいまー…あっ、姉ちゃん達もう来てんの?」
「伊織さんも来てんだよね?」
ワフッ!ウォン!
弟たちの声と、太郎と桜の鳴き声が聞こえてきた。

「お前達も帰って来たところか。寒い中の散歩ご苦労さんな。あぁ乃愛達はもう来てたのか。待たせたかな」

「あらあら…ちょうど帰宅が重なったわねぇ」
「どれ、ワシらも伊織さんに挨拶するかな」

ふふっ、玄関が急に賑やかになった。

「みんな、お帰りなさい」
「こんにちは、お邪魔してます」

「「あー!伊織さん、こんちわー!」」

「ははは、マジで同じ顔の同じ声で同時に言われると不思議感覚」

「待たせてすまなかったね。酒が足りなくなったからちょっと買い足しにね。伊織くんは飲める方かい?」

「まぁそれなりに、ですかね」

「じゃあ早速いただこうか」
「もう、あなたはまた昼間っから…」
「いいじゃないか、娘とその旦那が来てくれたんだから。それに正月だしな、めでたい酒は一段とうまいんだ」
「はいはい。乃愛はどうする?一緒に飲む?」
「じゃあ、少しだけ」
「したら俺達も飲むー」
「はいはい、じゃあお料理出すの手伝ってー」
「「はーい」」

私も席を立つと伊織が「すげーな、ケンとカイもちゃんと手伝うんだな」って感心してる。

「伊織のご実家の皆さんもそうだったよね。すごく素敵だなって思ったの。ごめんね、少し待っててね」

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