見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
それから続々とお正月のごちそうや飲み物が運ばれてきて、新年のご挨拶のあと皆での会食が始まった。

やっぱりみんな伊織に興味津々で、それは、たまに私が話を止めないと伊織が料理に箸をつけられないほどで。

でも、嬉しい。
私の愛する人が家族にも愛されるって。
伊織も昨日、そう思ってくれたのかな…
だったら嬉しいな。


あっ、そうだ。
「あのね、結婚式なんだけど。少人数でしようと思うんだけど…いいかな?」

「もちろんいいさ。式も披露宴も二人のしたい様に決めたらいいよ。呼んでくれれば海外だって行くから。なぁ、母さん」
「そうよぉ、あなた達の結婚式なんだもの、好きな様にするといいわ。あぁ楽しみね!」

「ありがとう、お父さん、お母さん」
「ありがとうございます」
伊織と顔を合わせてふふふと笑いあった。

「伊織くんの親御さんは何て?」

「うちも、俺達の好きな様にやれと言ってくれました。会社関係の集まりにはしないと」

「そうかい、それは素敵な親御さんだね。早くお会いしてみたいよ。いつか仕事で会うことがあればいいんだがなぁ」

「またそんなこと言ってー。全然違うお仕事なのよ?ほんとお父さんたら夢見がちなんだからーアハハ」

「!」
伊織とまた顔を見合わせちゃった。
でも私から言うことじゃないよね…と思ってたら。

「すみません、この場で言うのも何ですが…もしかしたら、俺の親父から仕事のお話が行くかもしれません」

「ほぉ、仕事の話って?」

伊織が、昨日聞いた話を伝えた。
それ言っていいの?って聞いたら、お父様からOKもらってたみたい。



「そうかいそうかい、それはワクワクする構想だね。私の方でも考えてみるよ」

「すみません、まだ全然まとまっていない話で…」

「いや、いいんだよ。そういうものだしな。もしそちらがよければ一度その話をじっくり聞きたいんだが」

「ありがとうございます。では父にもそのように伝えますので、この件についてはまた改めてご連絡させて頂きます」

「こちらこそ。いやしかし、うちが関わることができたら本当に幸せだなぁ、ハハハ」

「さあさあ、おせちもどんどん食べてね~」

「あ!姉ちゃん、昨日伊織さんの実家に行ったんだろ?どうだった?嫌われなかった?」

「ははっ、ケン、その心配はないよ。乃愛はすごい気に入られようだから」

「えーマジすか?姉ちゃん、マジで?」

「うん…そうみたい。本当によくしてもらったから」

「それに、甥っ子姪っ子にすげぇ懐かれたんだよな」

「そうなの。ほんとかわいくって。あ!甥っ子くんで高校生の男の子がいるんだけど、ケンとカイと話してみたいって言ってたよ。あんた達の行ってる大学に行きたいんだって」

「へー、どんな子?」

「今時のカッコいい子だよ。あ、そうだ写真撮ったんだ。……ほら、この子。ハルトくんていうの。このいがぐり頭のミナトくんは弟さんでね」

「ハルは乃愛に一目惚れしたとか言う生意気なヤツだから」

「すげーカッコいい子じゃん、今度一緒に来てよ」

「ふふ、そうだね、機会があれば」

「えー」

「なに伊織さんは嫌なの?」

「だってコイツ隙あらば乃愛に近づこうとするんだぜ?」

「ぶはっ!伊織さん、高校生に妬くんだ」

「いや歳は関係ねぇし。つか高校生っつったらもう一端の大人のガタイしてるからな?」

「ちょっと待って、やばい、伊織さんがすごいかわいいんだけど」
「…それな…」
健斗と快斗が肩を震わせてクックッて笑ってる。

「俺、そんなおかしいか?」

「ふふっ、そんなことないよ。ただ、ケンとカイはまだそこまで伊織の事を知らなかったから」

「そっか、そうだよな。俺そこまでおかしくねぇし」


ひとしきり肩で笑った二人が「あーマジで伊織さんの溺愛サイコーなんだけど」「姉ちゃん幸せ者だよなー」って嬉しそうに言ってくれたのが、とても嬉しかった。
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