見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
…心ゆくまで乃愛にだらだらべたべたと甘えた俺はようやくベッドから出ることができた。
で、乃愛とその式場のホームページにあがってたCM動画を見て、正直驚いた。
幸せな気持ちは見えるもんなんだな…
確かに〝自分たちもこんな幸せな結婚式がしたい〞と思わせるCMだった。
CMは誰がやっても同じだろうと思ってた俺はまだまだだな。
うちのCMもモデルじゃなくて実際の利用者さんに出てもらったら楽しさが伝わるかな、とか思ってしまった。
ま、それはさておき。
「はぁ…ほんとに幸せなのが伝わってくるよね」
「そうだな…」
「それに、このお二人がモデルさんじゃないって、信じられないよね」
「それな」
いや、マジで非の打ち所がない美男美女なんだって。まぁ好みは別として。
「…でも俺は乃愛の方が可愛いと思うけどな、マジで」
「えへへ、ありがとう。私もだよ?私も伊織の方がカッコいいと思ってるよ」
「ふ、よかった。じゃあここ、見てみるか?」
「いいの?県外だけど…」
「もちろん。親もどこでもいいって言ってたしな」
「ありがと、伊織」
「そうと決まれば見学の予約だな。あ、ホームページからできるっぽいな…」
俺は自分のスケジュールとブライダルフェアの日にちを見て、パソコンのキーを叩いた。
タンッ
「よし、申込み完了。あとは連絡待ちだな」
「ふふっ、伊織は仕事が早いね」
「だってさ、楽しいことは早くしたくなるだろ?すげぇワクワクしてきた!あっ、婚姻届!市役所に行ってもらってこよ!」
「あっ!あのね、婚姻届ってダウンロードできるんだよ」
「ダウンロード!?」
「うん、パソコンで好きな柄を選んでダウンロードして印刷したのに記入して出せるんだって」
「へー……今ってそんなんなんだ…」
「うん、私も知らなかったんだけどね」
「よし、じゃあそれも見よ!乃愛の好きなの選ぼ!」
「え、伊織も一緒に選ぼうよ」
「俺は乃愛が選んだのならきっと気に入るから」
そう言いながらパソコンで検索を始めたら出てくる出てくる。
「婚姻届かぁ…ドキドキするな!結婚式もすげぇ楽しみだな!」
ってワクワクを隠さずに乃愛に言ったんだけど…
「ありがとう」と俺を見る乃愛の目に涙が浮かんでた。
「…どうした?」
乃愛の頭を撫でながら優しく問うと、少し俯いて話し始めた。
「あのね……私…本当は最初の結婚の時…結婚式…したかったんだ…」
「…うん」
「でも…宏哉があまり乗り気じゃなくて……お金もかかるからって」
「…うん」
「私……ケンカになるのが怖くて…強く言えなくて…それで〝お金もないし、興味がない〞って思うようにしてたんだ…」
「そっか…」
女の人が結婚式を諦めるって…辛いよな…
「だからね、伊織が結婚式を楽しみって言ってくれたのがすごく…すごく嬉しかったんだ、えへへ」
涙を浮かべたままそう俺に笑う乃愛を抱き締めた。
「てことは、元旦那のお陰で俺達は二人初めての結婚式を挙げられるってことだな!」
そう言う俺を見上げた乃愛が、パチパチと目をまたたかせた。
「ふふっ、そうだね。…ほんと伊織はポジティブだね。大好き」
「俺も!じゃあ婚姻届選ぶか!」
「あっ……伊織は何で結婚式しなかったの?…って聞いてもいい?」
「あぁ、俺は公佳がしないって言うからしなかっただけ。俺はどっちでもよかったからさ」
「そうなんだ…公佳さんはしたくないタイプなのかな。……伊織は…私との結婚式もどっちでもよかった?」
なんて不安そうに聞かれたから、頭を撫でながら正直に答えた。
「俺さ、乃愛と結婚式したいって思ってたんだよ。披露宴はまた別の話として、乃愛との結婚式は二人きりでもいいからやりたくてさ。だから逆に乃愛に『したくない』って言われてたらショック受けてたよ、ははは」
「よかったぁ…」
俺にぎゅうっと抱きつく乃愛をよしよしと撫でながら、一緒に婚姻届のデザインを眺めた。