見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「ただいま、乃愛」
帰るとまずはハグしてキス。
仕事から帰って乃愛を見ると疲れが癒されるんだよな。
ふ、いくつになっても毎日可愛くてたまんねぇ。
「伊織、おかえりー。どう?スタッフさんもバッチリ?」
「あぁ、そこはナッシーだから大丈夫だよ。俺も見てるけど、やっぱナッシーはさすがだな、人を扱うの上手いわ」
そう。
【北の森パーク】の施設長にナッシーが抜擢されたんだ。
まぁ俺が推したってのもあるんだけど。
ナッシーは人当たりが良く真面目で、それは場合によってはなよなよして見られるけど、でも実は仕事には厳しく、あと(ほとんど見ることはないが)道理に反することをして怒らせるとおっかなかったりする。
それにナッシーはまだ独身でフリーだから移住も難なくできたのもよかったな。
そして…わが家はというと。
現在、俺は一児の父。
「あっくん、ただいまーパパだよー」
「ぱーぱーっ」
キャッキャと笑いながら駆け寄ってくる1歳の息子、礼翔(あやと)。
どっからどう見ても俺の遺伝子である天然パーマのくるくるふわふわの髪がまた似合ってて、あーもぉ、すんげぇかわいいんだ!
「ふふっ、ほんとに礼翔はパパが大好きだよね」
「ママといい子にしてたかー?」
って片腕で抱き上げるとすっげーニコニコすんの、マジでたまらねぇんだけど。
ほんと諒が言ってた通りだな。
子どもには乃愛とは違うかわいさと愛しさがあるよな。
…こっちで暮らし始めて三か月くらい経った頃かな、乃愛から「赤ちゃん、できたみたい」って言われた時はマジで嬉しくて嬉しくて…ぎゅうっと乃愛を抱き締めた。
けど、お腹を圧しちゃマズイ!ってパッと離れたら、乃愛に「まだ大丈夫だよ」って笑われたっけ。
それからすぐ諒に報告して、夫として、また子どもの父親として何をすべきか聞いた。
「何でも話し合って、相手に寄り添え」
って、いつも言われた。
妊娠や出産の大変さは、男は実際に経験できないから、どうしても分からない。
だから、勝手に気を回したり察したりするんじゃなく、とにかく相手の気持ちを知ろうとするのが大事だと、諒は教えてくれた。
それを聞いて、俺も乃愛の気持ちを一番に、何でも話し合って寄り添ってきたんだ。
だからかな、俺達はほんとにケンカらしいケンカはしてなくて。
でも、それが余計に怖くて…一度、乃愛に聞いたことがある。
「前の旦那の時みたいに…ケンカにならないように、って無理してないか?」って。
でも乃愛は「ううん、全然っ!本当に伊織には助けてもらってばっかりだし、私、何も我慢してないんだ。伊織が私の話を聞いてくれるから、私も全部言えてるんだよ」と言ってくれたんだ。
それ聞いて、マジでホッとしたよ。
で、乃愛も麻依さんに色々と教えてもらったり、女性にしか分からない不安な気持ちを聞いてもらったりしてて「すごく心強いの」って喜んでるんだ。
ほんと俺達はマジで頼りにさせてもらってる。
だから、お礼の気持ちを込めて明日のプレイベントに諒の家族を招待したんだ。
つっても北海道だし遠いから、もしかして逆に迷惑か?…とも思ったんだけど、これにも快く「もちろん行くって!」と言ってくれて、昨日、家族みんなで来てくれた。
そうそう、諒んとこも家族が一人増えたんだよ。
三人目の子ども、由飛(ゆうひ)くん。
うちの礼翔と同い年なんだ。
明日、乃愛も礼翔を連れて行くから、一緒に遊べるといいな。