見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
最近、子ども達が寝た後に乃愛と軽く晩酌するのが俺の楽しみ。
といっても乃愛はノンアルだけど。
「いつも子ども達の世話、ありがとな。大変だろ?…ごめんな、任せっきりでなかなか関われなくて」
「ううん、伊織はしっかりやってくれてるよ?だから礼翔も蒼空も悠空もパパが大好きなんだよ、ふふっ」
「ありがとな、そう言ってもらえるとすげぇ嬉しい」
マジで。
俺は俺なりに子ども達を愛してるから…
それが子ども達に伝わってるんだと思うとホッとする。
「あ、そういえば。今日パークに遊びに行った時に、梨本さんと福田(ふくだ)さんに会ったんだ。しかも福田さん、キッズパークで子ども達と遊んでくれてね。福田さんてほんとノリが軽くて楽しい人だよね、ふふっ」
「あぁ、智(さとし)さんね。…あっ乃愛「私は伊織だけだからね?」
「…ん……」
ほんとに俺の思考が読まれてるよな…
「あれ?諒さん達は来てないよね?いつも一緒に来てたのにね。今回は福田さん一人で来たのかな」
「あー…そうだな」
福田 智さんは、諒と麻依さんの同僚で、友達って言うより身内並みに仲のいい仲間って感じ。
マジですげぇイイ男なんだよ、見た目も性格も。
ノリが軽いとこの匙加減も巧くてさ、あんな人が未だ独身て不思議だったんだけど、諒と麻依さんが大好きなんだって。
だから、二人以上に好きになれる人が見つかるまでは誰とも…男でも女でも結婚する気はない、って智さんが言ってたんだ。
だから……乃愛にはもう言っておこうか。
「あのさ……ナッシーと智さん、付き合ってんだよ」
「……へ?付き合ってる…?」
「あぁ。……実はさ…ナッシーは恋愛対象が男なんだよ」
「へぇ……じゃあ福田さんも?」
「福田さんは…男も女も対象なんだって」
「へぇ……あ!もしかして伊織って、梨本さんに好意を寄せられてたとか…?」
ふ、鋭いな。
「大学の時な。最初はそれで話し掛けられたんだ。で、友達になって少ししてから気持ちを打ち明けられたけど、俺は友達としてしか見られないってハッキリ言ったんだ。恋愛対象も女だって。…それからはナッシーとは男のダチって関係で今に至るよ」
「もしかして…私、梨本さんに良く思われてなかったのかな…」
「ふっ、それは大丈夫だよ。まぁ正直言えば俺も気になったんだ、最初はな。…でもナッシーはもう俺に対してはそういう感情はないって言ってたし、乃愛の事もいい子だって言ってるよ」
「そっかぁ…よかった」
「…ナッシーを見る目とか…変わらない?」
「え?なんで変わるの?」
「まぁ…同性愛者だし…」
「全然気にならないよ?…ていうか、良かったね、お互いに理解できるいい人と出逢えて。梨本さんも福田さんも」
「乃愛…」
「二人ともすごく素敵な人だもんね。ふふっ、今度また一緒に遊びたいなぁ」
ナッシーと智さんに偏見を持たず、そう穏やかに笑う乃愛の、キラキラした笑顔はダイヤに勝るほど輝いている。
…俺は何度、乃愛を〝眩しい〞って思っただろう…
乃愛との出逢いの一番はじめも…
乃愛が光って見えたんだったな…
それで俺は…乃愛を見つけたんだ。
俺だけのダイヤモンドを。