見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
フロアに置いてある丸テーブルの椅子に、それぞれ座った。

「それで…この件の首謀者は誰なのかな?」

梨本さんが口を開いた。

「………」

「口を開かないとすぐに警察行きだけど、それでいいかな?」

「ヒッ!」
…葉月がおののいた。

「…葉月ちゃん…もう分かってんだよ、皆。全部吐いちまえよ」
宏哉が力なく言った。


すると、葉月がポツリポツリと話し始めた。


「私…乃愛が羨ましかった…可愛くて…誰からも愛されて…私の好きになる人…みんな乃愛が好きで…」

「それで、乃愛ちゃんに何をしようとしたの?」

「九十九さんが…乃愛を好きみたいだから…乃愛に九十九さんと付き合わないで、って言いたくて…乃愛が宏哉くんとよりを戻せば…九十九さんは乃愛を好きじゃなくなると思って…」

「それにしても、ちょっと手荒過ぎじゃない?ナイフとかロープとか」
「そんなの私、何も言ってない!」

「え?じゃあ彼の独断?」

ロープぐるぐる巻き男が口を開く。
「…俺が勝手に持ってきました。葉月さんに何としてでも連れてくる様に言われてたから…脅し用に…」

「…そう。でもそれ銃刀法違反な。あと、ナイフを突き付けたのは脅迫罪にあたるから」

「……え………」

「何も考えてなかったんだろ、脅しくらいなら、って」

「はい…」

「犯罪。わかるよな?」

「は…はい……」

梨本さんに真剣な面持ちで言われたロープ男は真っ青になっていた。



「それで、ロープは何で?」

「それは俺の独断です」


「宏哉…」


今度は宏哉が話し始めた。

「俺、乃愛と別れてからすごく後悔してて…仕事も辞めて…生きる気力もなくて本当に生きる屍みたいになってて……でも乃愛への気持ちが募って…会いたくて……そんな時に葉月ちゃんから連絡があったんです。乃愛に会わせるから、代わりに協力してほしいって。それで詳しく話を聞いたらヤバい感じがしたから…協力するフリをして…万が一、乃愛が危ない目に合いそうになった時に助けようと思って…参加しました。ロープは予定通りの使い方をしました、さっき」

「あぁ、そうなんだ。宏哉くんは端から乃愛ちゃんをどうこうするつもりはなかったんだ」

「当たり前ですよ…好きな女なんですから」


「宏哉…」


「ごめん、乃愛…怖い思いをさせて…」

「…宏哉はそんなつもりじゃなかったんでしょ…?」

「あぁ、俺は乃愛に会いたくて…乃愛を守りたくて来た」


「うん…ありがとう……」

あの頃の宏哉だ…
あの頃の宏哉がいる…

何でだろう…涙が溢れてきた…

でも私にはやるべきことがある。


涙を拭って、葉月に向き合った。

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