見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
その後、梨本さんがロープでぐるぐる巻きにされた男に説教すると、自分のしたことの重大さに気付いたのか、すごく青い顔でブルブル震え出した。

反省の色が伺えたところで梨本さんがロープをほどき、その男もタクシーに乗せて帰した。


それと同時に、筋肉マッチョの皆さんも帰ることに。

「あの、皆さん、遅くまでお付き合いさせてしまい、すみませんでした。このお礼は必ずいたしますので…」

「乃愛、いいんだよ。みんな好意で来てくれたんだから」

「でも…」

「じゃあさ、今度みんなで焼肉行こ!ね、つっくんもそれでいいっしょ?」

「ふ、そうだな。ナッシーのゴチな」

「いやそこはつっくんと俺の割り勘でしょー」

だから、
「私が全部出しますから」
って言ったのに、
「乃愛はいーから」
「乃愛ちゃんはいーから」
て同時に言われちゃった。


「んじゃ俺らは帰るなー」
「また来るわ」
「じゃあな」
と口々に挨拶をして、皆さんは明るく去っていった。



そして、しん…と静まり返った中…

「乃愛…本当に申し訳なかった!」
宏哉が私に向かって土下座した。

「俺がこんなことしたって価値はないけど…本当に申し訳なかったって…思って…」

「宏哉…やめて、頭を上げて」

「俺…本当にどうかしてた…あんなに乃愛が大好きだったのに…何で俺…」

「宏哉…」

「本当にバカだった……仕事に…プライドにしがみつくんじゃなくて…乃愛の元に…帰ればよかったのに……ただただ逃げて…もう一人の自分で出来損ないの自分を隠して……バカだよ…本当に…」

下を向いたまま…泣きながら話す宏哉に…

「もう…やめて……」
私もまた…涙が止まらなくて…

しゃがんで宏哉の肩をつかんで…さすった。


「俺…まだ乃愛が好きだ…できるものなら…やり直したい…」


「宏哉……」


少し考えて、私は伊織さんの方を向いた。

「伊織さん……私、宏哉と話してきます」

「あぁ、そうしなよ。あれから何も話してないんだろ?一度しっかり話した方がいい。俺は乃愛の思いを尊重するから……乃愛が後悔しない答えを出しておいで」


「…伊織さんはそれでいいの?」

「……あぁ、乃愛が決めたことなら…俺はそれでいいよ」

優しい表情で話してくれているけど、きっと伊織さんもこの言葉を言うのに勇気が要ったと思う…

「伊織さん……ありがとう」



そして私は場所を変えて、宏哉とお互いの気持ちを話し合った。
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