見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
「どうする?逢坂さん。あなたがやってきたこと…警察沙汰だと思うけど」

葉月は、泣き止んだものの、まだ儘ならない呼吸で答えた。

「……はい…警察に行って…全部話します…」


「乃愛ちゃん、これでいい?」
梨本さんが私に振る。


「…葉月は警察で話してどうするの?」

「…話して……その後は…刑が決まればそれに従う。それだけの事をしたんだから…罪は償う…」

「…もし警察に行かなかったら?」

「行かなかったら…って……?」

「まだ私に恨みでもある?まだ私に何かするつもり?」

「そんなことしない!絶対にしない!もし…警察に行かないとしても…私…実家に帰って全部話す。それで親から見放されても仕方ないから…だから…別の場所で一からやり直すつもり…」


「乃愛ちゃん、被害届、出す?」
また梨本さんが私に振った。


「…いえ、出しません」

「乃愛……何で……」


「さっきの言葉…私、信じるから。だから…昔の葉月に戻って…葉月らしくやり直してほしい」

「乃愛ぁ……ごめん……ごめんなさい………ありがとう……」
葉月が泣きながら私に抱きついたから…私も抱き締めた。




葉月が落ち着くと、梨本さんがタクシーを呼んだ。

「じゃあ逢坂さん、クラブの方は退会処理しておくからね」

「…はい…短い間でしたけど、ありがとうございました。……九十九さん…ケガさせてしまったこと、本当に申し訳ありませんでした。いつか…またお会いできた時に…治療費と慰謝料とお支払いしますから、それまで借りさせて下さい。必ずお返ししますから」

「あぁ、ケガの事はもういいよ。それより…もうこんなことするんじゃないよ」

「はい…絶対にしません…。私…次に会う時はちゃんと胸を張って、恥ずかしくない自分で九十九さんに会いたいです」

「その時はもう誰かの旦那になってるかもしれないよ」

「はい。もう…人のものは欲しがりません」

「あぁ、それがいいよ」


「宏哉くんも…利用する様な事ばかりして…ごめんなさい…」

「いや…それは俺もだから……自分の事しか考えられなくて……ごめん」


そして葉月が私に向きを変えた。

「乃愛…本当にごめんなさい……私…一から…ううん、ゼロから出直してもっと大人になるから……ちゃんとしっかりするから……そしたら……勝手なお願いだけど…また…会ってほしい…」


「…うん。葉月がいいと思ったら…連絡して。連絡先は消さないでおくから」


「乃愛…ありがとう……ありがとう……私…絶対に変わるから…!」


葉月の顔が…昔の顔に戻った気がする。
たぶん…ううん、きっと葉月はやり直せる。


「うん……頑張って」


……そして葉月はタクシーで宿泊するビジネスホテルへ向かった。

< 92 / 260 >

この作品をシェア

pagetop