見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
カタ…


…ん…物音…?………乃愛…!?


バンッ

テーブルでうとうとしていた俺は勢いよくドアを開け、部屋を出て玄関に向かった。



「ただいま…遅くなってごめんなさい」

乃愛が帰ってきた……

俺は帰ってきてくれた嬉しさを爆発させたかったけど…
まだ乃愛の答えを聞いてないから…

「…おかえり。待ってたよ」

平静を装って…優しく、出迎えた。


すると、乃愛がその場で話し出した。

「先に言っておくね。あのね…宏哉によりを戻したいって… もう一度結婚してくださいって言われたの」

「うん……それで…乃愛は何て答え…」

緊張で…喉がカラカラになり声が最後まで出なかった…


「もちろん断ったよ」

「断っ…た?」


「うん。私は伊織さんが好きだから。伊織さんと結婚したいって、思ってるから」
と、優しく俺に微笑んでくれた。


乃愛は…俺を選んでくれたんだ…!


「乃愛…おかえり!」
俺は乃愛を力強く抱き締めた。

「ありがとう…俺を選んでくれて…すげぇ嬉しい……」

泣きたくないのに…
俺の涙腺は意に反して涙を溢れさせてくる…


「伊織さん?……泣いてるの?」

乃愛が驚いてる。
はは、そりゃ驚くよな…
30の男が自分が選ばれて泣くとかねぇよな…

呆れられたらどうしよう…とか、またネガティブになってたんだけど…

「ごめんね……不安だったよね」
乃愛がそう言って、俺を抱き締めてくれた。

俺の気持ち、わかってくれてんだ…
年下なのに……俺より年上みたいな包容力…


「ごめん…不安になって…」

あれだけ乃愛に『俺の愛を信じろ』みたいなこと言っといて、その本人がこれだもんな…

嫌われたり…しないかな…

やべぇ…俺、乃愛が離れてくのが…すげぇ怖い…

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