無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜
 すでに、少年のようなウキウキした様子に皆川には止めるすべがない。

「お戻りは?」
「今日はアポはないだろう?」
「ええ」
「急ぎの書類は終わってる。戻らなくても問題ないだろう?何かあればメールで送っておいてくれ」
「かしこまりました」

 中途半端な仕事なら文句も言えるのだが、瑛斗は大工仕事同様、専務としての仕事も完璧なのだ。書類が遅れて困ることもない。

 いつ寝ているのだろうと思うほど、一日社内にいなくても完璧に終わっているのだ。

「きっと、間取りなどはこのまま決まるだろうから内装だな。それも、うちのプランナーではなく島田さんを指名してくるだろう。細かい打ち合わせはその時だな」
「そうですね」
「じゃあ」

 話が終わればすぐに専務室を出て行ってしまった。スーツから作業着に着替え現場に向かうのだろう――。
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