愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
泣いてスッキリしたのか、
ソフィアの表情はとても明るくなった。

「私はギーゼラ様が帰ってくるまでこの城で働いていなくちゃいけないの。女たちの嫉妬から逃れるためにも、昼間は会わないようにしましょう。会っても他人のふりでお願い。」
「分かった。善処する。でもこの時間はいいだろう?俺も毎晩この時間に来るから、その時だけは今まで通りに過ごそう。」
「エルマーは仕事で忙しいでしょ。無理しなくていいのよ。」
「無理じゃない。俺がしたいからそうするんだ。」
「分かったわ。」

この日以来、
エルマーとソフィアは夜に2人きりの時間を過ごすようになった。
一緒にヨーゼフの彫像を磨いて、
そのあとしばらくはおしゃべりをする。
時々お菓子を持ち寄ることもあって、それを一緒に食べたりもした。
温かく穏やかな空気がそこには流れていた。

たまにエルマーが甘い空気を出してくるときがあって
そんなとき、ソフィアは心臓が爆発するんじゃないかというぐらいドキドキした。
チョコレートを一緒に食べた時なんか、
ソフィアの唇にチョコがついていると言って
エルマーがキスするんじゃないかというくらい顔を近づけてきたのだ。
恥ずかしさで思わずエルマーの顔を押し返してしまったが、
あの時あんなことをしなければ、とソフィアは思い返さずにはいられなかった。
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