愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
もしエルマーのキスを受け入れたら、
2人の関係は何か変わるんだろうか。

そんな考えがソフィアの頭をよぎる。
あれ以来、キスするような素振りをエルマーが見せることはなかったが、
何というか雰囲気が変わったというか、
距離が近くなった気がする。
エルマーはソフィアの手や髪をよく触るようになったし、
それに「可愛い」とかそういう言葉を口にするのだ。

ソフィアもエルマーがかつて遊び人だった噂は知っていたので、
「エルマーは女の子全員にこんなことをするんだ」と思い直して、
自分の心をなんとか落ち着ける。
(ダメ、ダメ。舞い上がっちゃダメよ、ソフィア。)

エルマーにしてみれば自分もone of themなんだと思うのは
ちょっとショックではあるけれど、
本気になってしまったらもっと傷つくことになるだろう。
(彼は公爵ですもの。私みたいな下級貴族の娘は釣り合わないわ。)
エルマーと同様、ソフィアも今までの関係を壊してしまうことを恐れていた。
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