愛が芽生える刻 ~リラの花のおまじない~
「本当に、あほらしくて嫌になっちゃう!」
ハンナの部屋でソフィアは苛立ちの声をあげた。
エルマーと仲がいいソフィアは
女官たちのいじめの格好のターゲットで、
心を許せる同僚は同じ王妃付きの侍女だったハンナとエミリアだけだ。

嫌がらせの類はいつもスルーすることを決めているが、
ストレスが溜まりに溜まったら、
こうしてハンナに話を聞いてもらっていた。
ハンナは同じく王城で法務の仕事をしている役人と結婚しており、
昨年可愛らしい双子の女の子ミアとエラが生まれていた。
ミアとエラを見ていると、心が洗われていく。
赤ちゃんってなんて可愛いんだろう。

「ユリウス様とギーゼラ様の間に御子様が生まれるのが今から楽しみだわ。」
ソフィアの言葉にハンナも頷く。
「美男美女のお2人だから、それはそれはお美しい御子様が誕生するでしょうね。」
「ギーゼラ様がいらっしゃるまで、意地でも私は辞めないわ。」
「そうよ。くだらないことに惑わされてはダメ。放っておきなさい。」
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