愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「そうですか、凛ちゃん……。どの漢字ですか?」

「あ、えっと凛としているの凛です」

「そうですか。これもなにかの縁かもしれませんね。私たちの娘も漢字は違いますが、鈴(すず)と書いて鈴(りん)だったんです」

「本当ですか?」

 びっくりして遼生さんとふたりで聞き返してしまうと、佐々木さんご夫妻はフフッと笑みを零した。

 本当にすごい偶然だ。遼生さんが助けられなかった女の子と凛が同じ名前だったなんて。

「はい、本当です。……どうか凛ちゃんがすくすくと元気に育つことを祈っています」

「お忙しい中、こうして感謝の気持ちを伝える時間を作ってくださり、ありがとうございました。もしよろしければ、いつでも我が家の鈴に会いに来てください」

「鈴の二歳になる妹もいるんです。よかったら凛ちゃんと仲良くしてくれたら嬉しいです」

 佐々木さんご夫妻に言われ、私たちは「ぜひ今度伺わせていただきます」と約束をした。

 その時は起きている凛ちゃんに会えるのを楽しみにしていると言って、佐々木さんご夫妻は帰っていった。

 すると私たちのやり取りを見ていた彼の父がゆっくりと近づいてきた。

「助けられなかった命かもしれないが、お前が助けに入ったことによって、あのご両親は子供の死に目に会うことができたんだ。お前のやったことは決して無駄ではなかった」

「あぁ、今ならそう思えるよ」

 そう話す遼生さんは、心のわだかまりが取れたようなすっきりした顔をしていた。

 次に彼の父は私を見たものだから、一気に身体中に緊張がはしる。
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