悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「でも、このままだとバッドエンドを迎えるかもしれないし、話だけでも聞かないと……だよね」
「あー、そうだね……もし邪神復活にかかわっていたら、さすがに庇いようがないわ」
「邪神復活はこの世界にとっても避けたいことだ。だけど、ユーリがつらいなら他の方法を探そう」
「フレッド……」

 フレッドはこんな時でも私を優先してくれる。フレッドが私の話を聞かないのは、主に私の安全が脅かされる時だ。皇城に連れてきたのも警備上の問題だと言っていたし、クリストファー殿下のことを考えたら正解だったと思う。

 ミカも私のことをずっと探していてくれた。記憶が戻っていなければ、見守るつもりだったと聞いた時は胸が締めつけられた。

 ふたりとも、私に心を砕いてくれている。それなら私だってその気持ちに応えたい。それにもう通算五十年以上生きているのだ。多少のことではヘコたれない。

「ふたりともありがとう。でも大丈夫よ。もともと後輩だったし、話を聞いてくるわ」
「お姉ちゃん、わたしも一緒に行くわ」
「俺も護衛としてそばにいる」

 私は考える。フレッドは同じ空間にいたらダメだ。宮田さんがアプローチに専念して、なにも話してくれなそうだ。ミカは一緒にいてくれたら心強いけど、どうしてここに来たのかも聞いてみたい。

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