悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
第六章 破滅の時

22話 罠にかかりましょう

     * * *



「アルフレッド殿下」

 焦りのにじんだリンクの声で、慌ててフレッドを引き剥がした。
 今のは違うと言い訳したかったけれど、リンクの表情は固くなにかが起きているようだった。

「聖女がアルフレッド殿下との婚約を発表しました。新たな要求として、従わなければ皇帝陛下と皇后陛下の命はないと。さらに婚約者になればユーリエス様の指名手配を解くと言っております」
「……それはまた随分な要求だな」

 本人の同意なしに婚約を発表というのが納得できない。しかも帝国の皇太子相手にだ。正式な書類も交わしていないのに、そんなものは無効だと気付いていないのか、書類を偽装しているのか。
 これで指名手配を解いてもらっても、フレッドが犠牲になっているのだから素直に喜べない。

「皇帝陛下の影からの情報ですが、聖女はユーリエス様を捕らえたら、目の前に連行しろ命令してるとのことなので罠なのは明白です」
「ではその罠に乗りましょうか」
「……そうだな。ユーリは俺が必ず守る」

 フレッドは確固たる決意のこもった視線を私に向けた。

「明日の朝、ミカと最終調整してから動きましょう。今夜はしっかりと寝ておかなくちゃ」
「ああ、ユーリもゆっくり休んで」
「ええ、おやすみなさい」

 へレーナとの対峙を前に、私たちは眠りについた。



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