悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。

23話 夢の終わり

 帝都で見つけた騎士たちにとても優しく連行され、ひとまず私は取調室へ案内された。

 そこでお茶やお菓子を出され、申し訳なさそうにする騎士たちとお話しして現状を聞き出す。聖女へレーナには反発心があるが、民の生活も守らなければならないため命令に従うふりをしつつ様子を見ていたそうだ。

 近衛騎士たちも同じで皇帝陛下や皇后陛下が人質に取られ、闇の力に対抗できず迂闊に手を出せない状況だという。ひと通り話も聴き終えたので、私からお願いして手枷と足枷をつけてもらい謁見室へ案内してもらった。

 謁見室へ入るとへレーナが私に玉座の前で跪くように命令する。苦悶の表情を浮かべる騎士に迷惑がかかってはいけないので、言う通りにすると優越感に満ちた表情で私を見下ろし笑い始めた。

「あはははっ! 先輩、その格好よく似合うわ! 手も足も繋がれて本当にいいざま!」
「へレーナ、貴女では国を治めることができないわ。このままでは帝国の未来がないの。今すぐもとに戻して」
「はあ? なに偉そうに言ってんの? あんたが私に指図するなっ!!」

 真っ赤な顔で眉を吊り上げたへレーナは腕を振り上げ、思いっ切り私の頬を引っ叩いた。衝撃の後に頬が熱くなり、その後で痛みが襲ってくる。
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