悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
第七章 愛される幸せ

25話 それでは皆様ごきげんよう

 聖女の大反乱が終わりを迎え、リンフォード帝国は平穏を取り戻した。

 皇帝陛下は聖女の無茶苦茶な統治の尻拭いで、毎日忙しくしている。皇后陛下は体調を崩して休んでいるため、ミカが皇帝陛下と皇后陛下の補佐をして政務に励んでいる。

 そしてフレッドは。

「ユーリ、俺はコンラッド伯爵へ聖剣を返してくる。折れてしまったから、その埋め合わせもしてくるつもりだ。なるべく早めに帰ってくるから、どうか待っていてくれ」
「……わかったわ。荷物も整理したいし、一度自宅に戻っていてもいいかしら?」
「そうだな。クリストファーもバスティア王国へ強制送還したから、もう安心だ。念のため近衛騎士を護衛につけるから、自由に過ごしていてくれ」
「ありがとう。気を付けて行ってきて」
「ああ、最速で戻ってくる」

 フレッドはそう言って、私の髪をひと束掬い上げてキスを落とした。その仕草にドキッとしたけれど、すぐに平静を取り戻す。フレッドは名残惜しそうに皇太子妃の部屋を後にした。



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