悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「わかりました。護衛の仕事がないなら、ユーリ様のお世話をします。ですから通いのメイドも不要です。とにかく、俺はユーリ様のおそばにいたいのです!」
「あ、そう……でも、フレッドは料理なんてできるの?」

 なんて忠誠心の厚い騎士なのだろうか。お給料をあげるから好きにしててほしいなんて言われたら、私なら「はい、喜んで!」と即答だ。むしろその状況になりたくて、これまで必死にやってきたのに。
 でも身の回りの世話が騎士に務まるのか? 私はベッドから動かないのだ。料理も掃除も洗濯も、なーんにもしたくないのだ。

「当然です。騎士として訓練する際に野営もこなしてきました。まあ、男っぽい料理になると思いますが、精進します」
「掃除も通いのメイドに頼もうと思ってたんだけど……」
「それこそ俺がやります。女性では手が届かないところも綺麗にできますし、フランセル公爵家でお借りしていた部屋も自分で清掃していたので大丈夫です」
「いやでもさすがに洗濯は……」
「俺がやります。ユーリ様がなに不自由なくお過ごしいただけるよう、全力を尽くします!」

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