悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 だって私は悪役令嬢で、婚約も解消して傷物だし。あれだけだらしない格好も見せてきたのに。

「ユーリ様と過ごすうちに、いつの間にか心惹かれておりました。この身に替えてもユーリ様を一生守り抜くと誓います。俺の妻になってください」

 ま……まさか、まさかの求婚だった……!! 前世も含めて初めてのプ、プロポーズッ!!

「そ、そんな……急に言われても……」

 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!! ちょっとテンパりすぎてなにも考えられない。

「……俺をただの男として見てもらえませんか?」

 熱を孕んだ瞳があまりにも真っ直ぐで。だけど、フレッドは護衛騎士だと思っていたから、そんな風に見たことがない。本当にイケメンだし、頼りになるし、誠実だし、ずっと私に尽くしてくれている。騎士の仕事じゃないのに家のことまでこなしてくれて騎士としては全幅の信頼を置いている。

 そうやってフレッドと過ごした帝国での日々を思い返すと、それは本当に穏やかで癒される毎日だった。ぐらりと私の心が揺さぶられる。

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