悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「お兄様、そんなに慌てて……ああ、もしかして失敗したのですか?」
「まだ失敗していない。だが、俺の決心がついたらここに連れてこいと言っただろう?」
「ええ、そうね。ふふふ、この時をどんなに待っていたか!」

 ミカエラ殿下は私に嬉しそうな笑顔を向ける。そしてやっぱりフレッドはこのリンフォード帝国の皇子だった……!! どうしてそんなやんごとなきお方が、私の護衛騎士なんぞをしていたのもわからない。途中から、もしかして、いやいや、もしかしなくてもそうだよね!? と思ってはいたけど。それに、私、ついさっきプロポーズされなかった? この皇子に!!
 
 ミカエラ殿下がなにを待っていたかは知らないけれど、きっと私は無関係だし勘違いだと思う。ていうか思いたい。
 だけど私には逃げ道なんて用意されていなかった。


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