気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


 タイトで短いスカートから、パンツスーツに変更。

 爪も短く切って、明るい色のネイルもやめた。

 メイクも自然でナチュラルに、取引先からの評判もいい。


「カジュアルだね~、そのほうが似合ってるかもな」


「そうですか、ありがとうございます」


「来週、新規の取引相手が会社に来るから、たのむよ」


「はい、わかりました」


 白井さんに会う機会があったら、キラキラOLと言われなくなるかも。

 それはそれで、ちょっと寂しい気もする。

 同じ歳で気兼ねなく、お泊まりしに来てくれる女子は貴重だ。

 パジャマを脱がされてたのは、気になるけど……


 救命救急部医局に行ったら、聞いてみたいこともある。

 でも、社長は退院したから顔を見せづらい。


 出先でヘリコプターの音がしたら、思わず空を見上げてしまう。

 白い機体に青と赤のライン、左右の側面に描かれたドクターヘリの文字。

 あの機体が病院のヘリポートから飛び立って行く姿は、今も目に焼き付いてる。


「氏家先生、いそがしいのかな……」



 ふと、先生のことが脳裏に浮かんでしまう。



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