推しがいるのはナイショです!
「すみませええん。私、主任からこの書類を頼まれていて今手が離せないんですう。水無瀬さんわかるなら、本人が行ったらいいんじゃないですかあ?」
 主任から頼まれたデータの打ち込み、急ぎじゃないからと任されたのは昨日の話だ。さすがに一日かけても終わらないのはいかがなものか。

 ちょっとイラっとしかけたけど、私はポケットに忍ばせた緑のパスケースを押さえる。
 よし、平常心平常心。

「課長、私、行ってきます。高塚さん、それどこまで終わっているの?」
「えっとお」
 嫌そうな顔で自分のPCを指した。
 う。打ち間違い多い……けど、ほぼ終わってはいた。

「もう終わるわね。もう一度見直したらお昼までに終わらせて主任に確認してもらって」
 私が言うと、高塚さんはトーンの低い声ではあいと答えた。
「悪いね、水無瀬さん。頼んだよ」
 課長がそう言ってくれるのが救いだ。

「華って、あいかわらずクールだね」
 別の課に行くと言って一緒に部屋を出た留美が話しかけてきた。
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