推しがいるのはナイショです!
 課長、本当に辞めちゃうのかな。
 総務になってから、課長には本当にたくさんお世話になった。慣れない仕事で失敗もしたけど、課長は厳しく丁寧に仕事を教えてくれた。今の私があるのは、課長のおかげだ。

「……な、華」
「え」
 は、と気づけば、留美に呼ばれていた。
 私たちは食堂でお弁当を食べ終わったばかりだった。

「ごめん、何?」
「だから、スマホ、なんか鳴ったよ?」
 言われて見てみると、画面に示された名は。

『久遠』
 一週間前、迷った挙句、入力したあの男の名前だ。

 いつ連絡来るかと思ってびくびくしてたけど、なんの音沙汰もなく数日が過ぎて、今度とか言ってたのは冗談だったのかな、と思い始めていたところだった。
 本名なのかな。それか、私みたいに偽名?
 スマホを開けてみると、メールが来ていた。

『今夜7時。駅前スタバ』
 ………
 えーと。
「なに、デート?」
 留美が横からのぞいた。私は、あわててスマホを隠す。
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