推しがいるのはナイショです!
「それでこれが、俺たちの甘えんぼの弟、クウヤでーす」
 イチヤは仏頂面で座っている久遠に背中から抱き着いて、思い切り振り払われていた。

「嘘……」
「あんたの言いたいことはわかるよ。こいつ、あまりにもステージの上と普段の性格違いすぎるよな」
 イチヤがうんうんと頷いている。
「もういいだろ。さっさと行けよ」
 久遠が不機嫌を隠そうともせずに口をはさんだ。

「はいはい、邪魔はしないよ。けれど久遠、今日は5時から稽古始まるからね。時間変更になってるけど忘れてないよな?」
 あ、と久遠が声を上げたところをみると、忘れていたらしい。

「じゃ、僕たちは先に行ってる」
「じゃーねー、彼女さん。今度は俺たちとも遊んでねー」
 突風のように二人は去っていった。残された私たちの間に、沈黙が落ちる。

「あの」
「なに」
 おそるおそる声をかけると、淡々とした声が返ってきた。
「……まさか、本当に、クウヤ、なの?」
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