推しがいるのはナイショです!
「そう。初めてお前のパス見た時にそれで気になったんだ。あの時、縁を切らなくてよかった。言っとくけど、どうでもいい女にMV貸すなんて口実、使わないからな。こないだのカフェで五十嵐って名前が出て、俺はどこぞの課長じゃないから誰のことだよ、って自分でも驚くくらい嫉妬した」
「嫉妬? 久遠が?」
 急に、久遠が真面目な顔になった。

「俺、華が欲しい」
 ぼ、と顔が熱くなる。
「俺のものになってよ」
「わ、私は……」
「嫌?」
「………………」
「華?」
 本当の名前を呼ばれて、体が熱くなる。

 私の、名前。
 久遠に呼んでもらうことが、こんなにも嬉しい。

「………………嫌じゃ、ない」
「ならおっけー」
 久遠は手を出した。
「ラーメン、食いに行こ。コンサート終わってから、なんも食ってねえんだ」
「こんな時間に? 久遠と食べ歩いてたら、私、際限なく太りそう」
 ため息をついた私に、久遠はまた、に、と笑った。

「太ってても痩せてても、華は華だろ?」
 そう言われちゃうと何も言い返せない。
 私は、少し考えてからその手をとった。
「半分こ、してくれるなら行く」

  ☆
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