転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「私が絵画に興味を持ったのはお父様とレオの影響が大きいわね。子供の頃から絵は身近にあったもの」

「……」

「その時にプレゼントしてくれた絵がね…」
「クレア!」

「え?」

「……ごめん。そろそろ帰るよ。学力試験の勉強もあるし」

もう聞きたくなくて、クレアの言葉を遮る。

「あ、そうね。今日は来てくれてありがとう」

「ッ!!」

どうしてアスター先生の夕食会に来たことで君が!?
アスター先生の恋人としてお礼を言われたような気がして、今までで一番醜い嫉妬に襲われる!

「君はッ!!」

ガッ!とバルコニーの壁に両手をついてクレアを僕の腕の中で囲う。

「え、ルカ…?」

「君はやっぱり……」

あの人と恋人なの?

クレアに近づく。
驚いた顔で僕を見ている。
大きな瞳……さっきまで夜空を映していた綺麗な瞳は、今は僕しか映していない。
このまま僕が手に入れてしまいたい。
左手をクレアの頬に添えて指で撫でながら上を向かせると、クレアの頬がカァッと熱を持った。

僕はクレアを見つめてさらに近づく……。

もう少しで唇に触れてしまいそうなところで僕を呼ぶ声がした。

「ルカ!……帰るよ」

ハッとしてクレアから離れる。
僕は何を!!

「……クレア、ごめん」

「う、ううん」

俯いてしまったクレアに背中を向けて歩き、僕はルイとクスフォード家へと戻った。

「ルイ…止めてくれてありがとう」

自分の部屋の前で俯き、ルイにポツリと言う。
ポンと僕の肩を叩いてルイは自分の部屋に向かった。
僕も扉を開けて部屋に入り、ソファーにドサリと座り込む。

「サイテーだな」

激しい嫉妬に駆られて体が勝手に動いていた。
クレアを取られたくなくて…。

ルイしか気づいてなかったみたいだったけど、皆がすぐ近くにいるあんなところで…。
あのままキスをしていたら、きっと止められなかったはずだ。

「まだ子供だな…僕は」

背もたれに頭を乗せて手のひらで顔を覆った。

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