転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
翌日、噂の発祥の店だという王都のチョコレートショップ『ショコラ リリー』に来た。
黒と茶で統一された高級感のあるお店だ。

「ここもローズ菓子店と同様にマクラナ伯爵家が経営されているらしいよ。さすが王都の流行りを生み出すやり手のマクラナ伯爵だね」

ルイが教えてくれた。
キィと重厚感のある扉を開き、コツンと靴音を鳴らして店内に入ると、チョコレートの甘い香りに包まれた。
綺麗にラッピングされている商品がズラリと並んでいる。

突然現れた見目麗しい双子達に店内はザワついた。
サラリとしたネイビーブルーの髪、長い睫毛に切れ長で優しそうなグレーの瞳、美しく整った顔で背も高くスタイル抜群の双子。
お揃いのお洒落なスーツを着こなしている。
女性客、店員までもがルイとルカを見て動きが止まった。

「?」

女性客が多い中に僕達が入るとチラチラと視線を感じたけど、プレゼントを選び始めた。

「いっぱいあって悩んじゃうね。あっ!これ可愛いよ!」

僕がチョコレートの箱を手に取ると、ルイも同じ物を手に取っていた。

「…やっぱりな」

「ふふっ。一緒に買いに来て正解だね」

「同じ物を選ぶところだったな」

「わぁ。これ美味しそう!自分用にも買おうかな。ねっ、ルイ」

クスクスと笑い合い、僕達はチョコレートを選ぶ。

麗しい双子達がじゃれ合いながら甘いお菓子を選んでいる。
そんなふたりのやり取りを見て、顔を赤く染めるご令嬢、胸を押さえてフラリとフラつくご令嬢がいた。

細く長い綺麗な指を顎に添えて、チョコレート選びに夢中になっていたルカが横に移動すると、トンッと近くにいたご令嬢の腕に軽く当たってしまった。

「失礼いたしました!お怪我はありませんか?」

スッとそのご令嬢の手を取るルカ。

「は、はいッ!!」

ご令嬢がルカの近くに行き過ぎて当たっただけなのだが、心配そうな顔と、大丈夫だと分かると見せたホッとした笑顔、両方を間近で見たご令嬢は立っているのがやっとだった。



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