転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
新たな転生者

僕達の朝はランニングから始まる。
これは前世の頃からの習慣だ。
玲お兄ちゃんが柔道をしているのを見て憧れ、僕達も習い始めたことがきっかけだ。
屋敷から王都の広い公園まで走ってきた。
朝の冷たい空気が気持ちいい。

ルイがベンチに座ったあと、ニヤニヤして僕を見ていた。

「なんだか派手にやったみたいだね」

僕はタオルで汗を拭きながら聞く。

「え?何が?」

「シェイラのクラスでも噂になっていて、いろいろ聞かれたらしいよ」

「噂?」


『大柄の男に絡まれていたクレア様を颯爽と現れたクスフォード侯爵家の麗しの王子様が助け、横抱きにして連れ去った』


「ええ!?」

数日前にあった王都の通りの!?


『大柄の男性の体が宙を舞った』
『王都の警備をしている騎士団が到着するまで、誰も手が出せない状態だったのに、クスフォード侯爵家の王子様は怯むこともなく相手をあっという間に倒した』
『クレア様を横抱きにして連れ去る姿はまさに王子様』
『宝物のように抱きしめていたわ!あの方はきっとルカ様ね』


「なんて言われているらしいよ」

ルイはまだニヤニヤしている。

「……確かに人は集まってて、大きな男は背負い投げしたけど学園でまで噂になるの?」

「人通りの多い場所での騒ぎだからね。噂はもっと広まるだろうね」

「ええー!」

「でも、これでクレアに声を掛けようとする男はいなくなるんじゃない?」

「そ、そうかな…」

そうだといいんだけど。
クレアは可愛いから心配だし、僕以外の男がクレアの隣にいるなんて嫌だ!

「ッ!!?」

あれ?目の前にいるルイが目を見開いて固まった。


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