転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
迷子の小さな子猫ちゃん

1

迷子のローラ様の希望で王都の公園に来た。
僕とルイが毎朝ランニングするコースに入っているところだ。
今日の朝の僕には考えてもいなかったことが起こってしまった。

ローラ様はブランコでキャッキャッと遊んでいる。
僕は背中を押してあげながらクレアに謝った。

「ごめんね、クレア。こんなことになってしまって」

「ううん。ルカのせいじゃないわ。それにローラ様をお父様のところへ連れて行ってあげたいわ。きっととても心配されていらっしゃるでしょうし」

「そうだね…。どこにいるのかな?」

僕達の心配をよそに、ローラ様はさっきの泣き顔とは一変してとても楽しそうに笑っている。

「かっこいいおにいさまー!もっとおしてー!」

「ええ!? またそれ!?」

「うん!ローラ、おにいさますき!」

「そ、そっか。ありがとう」

妹がいたらこんな感じなのかな?
クレアもクスクスと笑っている。
小さな子猫ちゃんはブランコも好きなようだ。

「でも困ったね。『ローラ』としか教えてくれないから家も分からないね」

「そうね……」

ブランコのあとは公園を散歩した。
そのあいだも僕に抱っこをねだってギュッと抱きついている。

「ルカのことが気に入ったのね。フフッ」

「そうみたいだね。何でかな?」

キョロキョロと周りを見渡してもやはりお父様らしい人はいない。

「……パンケーキたべたい」

「ええ!?……いいのかな?」

食べさせてあげたいけど、勝手に大丈夫かな?

「いつものパンケーキたべたいー!」

「いつも食べているなら大丈夫じゃないかしら?それにお店の方がお父様やお母様をご存知かもしれないわ」

「そうだね。どこのお店かな?」

ローラ様分かるかな?

「えっと、リップー!」

「どこ?リップー??」

「きっと王都の飲食店街にある『チューリップのパンケーキ』だわ。人気のお店なのよ」

「クレアが知ってるお店なんだね。良かった!」

「やったぁ!」

パンケーキが大好きらしいローラ様は僕にしがみついたまま喜んでいた。



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