完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される

「コスもかわいいけど、タマちゃんの音楽はやっぱすごい」
「天才の所業」
「乳神様は音楽の神でもあられた。合掌」

 ──やっぱり音楽は好き。お金には代えられない快感がある。

 言葉で自分を表現するのが苦手な分、こうすることで、千紗は自分を開放していた。多くの創作者にとってそうであるように、千紗にとって、呼吸のような物になりつつあった。
 父のことは不幸ではあったが、こうして自分の魂を表現するような活動に目覚められたのは、幸せなことなのかもしれない。

 千紗は没頭しきっていた。これが私の幸せ──。

 集中力を極限まで高めていたせいで、千紗は窓に忍び寄る陰にも気づかなかった。
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