完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
しばらくしてこっそり再び様子を見に行くと、誰もいなくなった社内で千紗は泣いていた。
あの震える小さな背中に恋してしまった。
──なにがロボだよ。強がってるだけの繊細な女の子じゃん。
どうしてあんなに頑ななのか、理由はわからないが、感情がないわけじゃない。
それからも気になって頻繁に声をかけたが、千紗は人を受け付けない負のオーラを出していたし、声をかけても塩対応のままだった。
そのあと、ひょんなことから、千紗が動画を配信していることを知り、田吾作と名乗って交流を始めて、もっと好きになってしまった。
『親の借金を返すまでは、頑張る』
『そっか。でも女の子の一人暮らしだし、安全だけは気を付けてね』
『うん。田吾作さんみたいな人が彼氏ならよかったのにな……』
そんなかわいいことを言う千紗に、井村はイチコロで堕ちた。