完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
亡くなってから、寂しくて見れなかった父の部屋を見ていると、父と千紗が並んで笑っている写真が部屋に飾ってあるのが目に入る。
知らず知らずに、涙が溢れる。
「よしよし、辛いね。泣いていいから。ゆっくりでいい」
「ご、ごめんなさい。泣くつもりじゃ……」
「そうだよね。ごめん。俺もなんて言っていいかわかんないけど」
井村も涙ぐんでいて、ちょっと申し訳なくなる。本当は一人でしなくてはいけないのに。
「ごめんなさい……」
「いいんだよ。頼ってくれてマジで嬉しいんだから」
少しでもわかってくれる人がいることこそが、今の千紗には何よりの救いだった。
井村は千紗が泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。今はこの温もりに甘えていたい。