完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
見てくれたリスナーのために、自分のために、お父さんのために。そして支えてくれた井村さんのために、今まで培った全ての技術をぶつける。
静かな導入から、序盤の盛り上がり、そしてまた穏やかなフィナーレ。
まだ二十年しか生きてないけれど、千紗の人生全てをつぎ込んだ気がする。
全身全霊、生きていた中で一番集中した8分間だった。
「聞いてくださり、ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をして、配信を止め、PCの画面を閉じる。
「終わった……」
父親の借金という悲劇的な始まりではあったが、いつしか音楽は千紗の全てになっていた。心地よい高揚、そして脱力。そして喪失感。
やりきった。燃え尽きた。床に寝転んだ。天井が涙で滲んで見えなくなる。