完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「お父さん、天国で見てたらきっとたくさん心配したよね。私は大丈夫だから。お父さんが私に言ってたみたいにちゃんと幸せになるからね」
千紗は、父の写真を見つめてそう言った。
──さようなら。私の青春。
毎日努力をして動画を上げている日々は無心になれた。なにかを本気でやっている時ほど幸せなことはないと亡父もよく言っていた。だからこそ道半ばで倒れてしまってきっと無念だっただろう。
今になって音楽が本当に好きだと、気づいてしまった。だからこそ喪失感に打ちのめされていた。
「すごい演奏だった」
隣の部屋で待っていた井村がやってきた。
「井村さん……」
「お疲れ様。ゆっくり休んで」
なにも聞いてこないその優しさが、今の千紗には必要だった。 井村が千紗の頭を撫で、頬にキスして、そっと抱きしめた。