完璧上司の裏の顔~コスプレ動画配信者、実はファンだった苦手な上司に熱烈溺愛される
「どうして私を?」
「あれだけの才能を埋もれさせたくなかった。本音を言えば、音楽をまたやる気になってくれたら嬉しい。俺は君の一番のファンだから」
「あ、ハイ。そろそろ再開しようかなとは思ってました。表に出るかは別としても。手が疼いちゃって。羊飼いも捨てがたいんですけど、そっちは老後の楽しみにするのも悪くないかなって」
「うん」
「ところで……私があのまま北海道にいるって言ったら、どうするつもりだったんですか」
「俺も移住しようかと。テレワークしながら本社にはたまに顔出して、週末は羊飼いを一緒にやるのもいいなと思ってた」
「そ、そこまで!?」
東京育ちの井村がそこまで思っていたと思うと、驚いた。そこまで千紗のために覚悟していたのが、申し訳なくもあり、嬉しくもある。