聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

…今、気持ち悪いのは…きっと匂いのせいじゃなくて。



そういう危惧が出来なかった自分に対しての不信感が募って、気持ち悪いんだ。



「…紫呉さん、仁さん。私、もう大丈夫です…から。気にしないでください…っ」



少し私が取り乱しただけでこんなに心配してくれる二人の優しさは、私なんかに使われるべきじゃない。



「ごめん、なさいっ…」



二度目の謝罪は、さっきよりも心が押しつぶされそうなくらいに苦しかった。



「翠……落ち着いて。俺は大丈夫です、もちろん仁さんも。今はとにかく、自分の心配が先ですよ。何か話があるのであれば、体調が良くなってからにしましょう?」



「っ、はい……」



紫呉さんの酷く優しい声で、つい泣いてしまいそうになる。



…っだめ、泣いたらもっと心配させちゃう。



今はそんなことよりも、蓮見先輩のことを紫呉さんに言わなきゃいけない…。
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