聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
気持ち、悪い……っ。
思わずしゃがみこんでしまいそうになった時、体がふわりと宙に浮いた。
「翠は楽にしていてください。今、横になれる場所へお連れしますから」
「っ紫呉、さん…」
すぐ目の前にある綺麗な顔を確認して、自分がお姫様抱っこをされていることにようやく気づく。
いつもなら嬉しさと羞恥心でどうにかなってしまいそうだけれど、今は全くそんな感情が湧かない。
…私、まだ紫呉さんに言ってないことがあったんだ。
今の今まで、ずっと忘れていた。
……蓮見先輩に告白されたこと、まだ言えてないっ…。
「…っ、ほんとに、ごめんなさいっ…」
どこまで自分は愚かなのだろうと、罪悪感でいっぱいになる。
蓮見先輩の気持ちは、純粋な好意ではないのかもしれない。
私に近づいたのが、紫呉さんたち『Nova』を陥れるためのものだとしたら…?
紫呉さんの彼女である私を利用して、酷いことをするつもりだったら…?