聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
その中に、紫呉さんや彩那ちゃん、あーちゃんたち家族がいて…。
…私も、同じ思いなんだよ。
たしかに私が彩那ちゃんの立場だったら、彩那ちゃんと同じことをしてるんだと思う。
だけど、こうして考えたら無理してでも好きな人たちを守りたいと思ってしまうの。
自分勝手で、本当にごめんなさい。
「…あ、蓮見先輩だ」
廊下がざわつき、女子たちの悲鳴に似た歓声が聞こえてきて彩那ちゃんと顔を見合わせる。
蓮見先輩が近くに来ていることを確認するには、それだけで充分すぎた。
「彩那ちゃん、私行くね」
「ん、行ってらっしゃい。気をつけてよ?」
「うんっ!」
教室まで入ってこられたらまた大変なことになってしまうと思ったため、自ら進んで廊下に出た。
……不思議だなぁ。
今までの私なら、怖くて怖くて一歩も動けなかったはずなのに…。
現に、体育館裏では体が言うことを聞かなかった。