聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

ふ、不安すぎる…彩那ちゃんが黙り込むなんて滅多にないからすごく怖い…。



昨日の出来事を全て包み隠さずに話し終えたのは、昼休みが始まってから三十分後。



二人で非常階段までやって来て、お弁当を食べ終えてから話し始めた。



そして、今ようやく話し終わったところ…だけど、彩那ちゃんが何も喋ってくれないという緊急事態に陥ってしまった。



こ、これはもう…ひたすら謝るしかない。



俯いている彩那ちゃんの方を向いて、背筋を伸ばす。



「本当にごめんね…黙って勝手なことしちゃって、心配かけたよね…。彩那ちゃんが怒るのは当然のことで……」



と、言いかけたとき。



「怒ってないよ翠のバカ!!!!」



俯いていた彩那ちゃんが、大きな声を上げてガバッと勢いよく顔を上げた。



「!?ご、ごめっ…」




ど、どうしよう…?彩那ちゃんかなり怒ってる…!



つい反射で謝ろうとしたけれど、彩那ちゃんの目が赤くなっていることに気がつく。
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