聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
一人でぼんやりそんなことを考えていると、斗真さんは「ごめんね」と謝りながら苦笑した。
「でも、いい気分転換になったでしょ」
「…!!」
ね?とニコニコする斗真さん。
そんな彼の笑顔には、一体どれだけの気持ちと気遣いが隠れているのだろう。
「…はい。そんな余裕なかったので…」
「なら、作戦どーり。あんまり思いつめるとさ、どんどん嫌な方向に考えちゃうじゃん?だから時々こうやって、全てがどうでも良くなっちゃうくらい爆走すんだ。風に乗ってバイク走らせてると、一瞬で吹き飛ぶから」
時々…ってことは。
「斗真さんもあるんですか…?その、思いつめちゃうこと、とか…」
「あるある、いっぱいある。最近はなくなったけど、昔はしょっちゅうあったよ」
意外…って言ったら失礼になっちゃう?
でも、そんなふうには全く見えない。
いつも明るく元気な斗真さんが私みたいに…なんて、想像がつかないよ。
「んで、その度に紫呉が俺を連れ出して、さっきみたいにバイクに乗せてくれた」
「っ…!」
急に出てきた紫呉さんの名前に、思わず反応してしまう。