聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい


「っきゃああああ!!と、斗真さんっ!!さすがにちょっと速くないですか!!?」



「ふつーふつー!!ってか、翠ちゃんの叫び声可愛すぎない??」



夜空の下を颯爽と駆け抜けながら、今世紀最大級の叫び声を上げた。



斗真さんのバイクに乗ったはいいものの、速度違反ギリギリのスピードで走らせるからとてもじゃないけど生きた心地が全くしないのです。



あーちゃんを助けるために乗った時よりも速いのでは…??



斗真さんの背中にしがみつくように腕を回しているけれど、この体勢を恥ずかしいとか思ってる暇もなければ余裕もない。



な、なんかもう早すぎてもはや無の境地に…。



考えることを放棄した私は、振り落とされないようにただひたすら斗真さんの腰に手を回していた。



かれこれ爆走すること十数分後、ようやく家に到着。



「ふぅー…久々にこんなスピード出したわ。って、翠ちゃん大丈夫?」



「……だ、大丈夫、です…」



……なんか、三度くらい三途の川が見えた気が…。



フラフラしている私に声をかける斗真さんは、慣れているのかケロッとしている。



羨ましいけど、あんな経験をそう何度もしたくはないし、やっぱりいいかな…。
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