飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
✧˙⁎⋆





ボフンッ。



 七時三十八分、家の玄関をあけて、すぐ。

 私たちは懸命に息を整えていた。

 襲い来る野良のボス猫をなんとか撒いて、命からがら家に帰ってきたところだからだ。
 

「っ、何してんだよ!」


 いそいそと私が持ってきた服に着替える(しん)が、余裕のない声で私を叱りつける。

 私はまだゼェゼェと荒い呼吸を繰り返して、上手く喋れない。


「俺がいなかったらどうしてたんだよ!あんなとこにひとりでいたら危ないだろ!」


 (しん)はそう捲し立てたあと、まったくもう、と憤慨しながら私が散らかした荷物の片付けにかかる。

 自分のことを棚に上げて苛立つ(しん)にカチンときた私は、思い切り(しん)を睨みつけて反攻を始める。


「危ないのは、そっちだよ! 何も言わずにいなくなったらビックリするじゃん! 用事あるならあるって言ってよ!」

「え?」


 (しん)がピタッと動きを止めて、睨む私をぽかんとした表情で見返す。


「言ったけど」

「え?」

「連絡入れた。 『出かけるけど夕飯までに帰る』って」

「えっ」

 
 私はすかさずそこにあった鞄からスマホを探して、開いた。

 
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