飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
 バランスを崩して後ろの壁にぶつかった私に、(しん)は構わず私の顔の横に手をついて距離を詰める。


「凛が可愛すぎるから、キスしたくなっちゃった」


 真剣な表情の(しん)を見ないようにして、私は(しん)の胸を押す。
 

「ダッ、ダメに決まってるじゃん……!」

「……ダメ? 本当にダメ?」

「っ、ダメ! 本当に!」


 私は心臓のドキドキをごまかすように、首がもげる勢いで左右にブンブンと振って抵抗する。

 それを見た(しん)はため息をつきながら、「ケチ」と口を尖らせた。
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