飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「……あんまり、見ないで」

「無理」

「……」
 

 なんで、なんて反論する余裕はない。

 至近距離のイケメンからの視線に耐えきってなんとかつけ終えると、(しん)が自分の首元についた太陽を撫でた。


「似合う?」

「……うん」


 私の小さな返事に(しん)はふ、と頬を緩めた。


「凛」


 ずっと目をそらしてくれない(しん)が、私の手をとった。

 心臓がドキドキして、しすぎて、痛い。


「……キスしていい?」

「!」


 (しん)が、私の頬に自分の手を移動させる。


「っ……」

「……凛」

「……」

「ダメって言わないの……?」

「……」


 私は声を出す代わりに、ギュッと目を閉じた。


「……」


 衣擦れの音がして、心が近付く気配がする。

 おでこに心の前髪がサラッと当たって、私と同じシャンプーの匂いがした。

 そして(しん)の、ほとんど息みたいな小さな声が、唇にかかる。
 


「…………好きだよ、凛」



 そして私たちは



「っ……」



 ゆっくり、ゆっくり

 唇を重ねた。



 
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