飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「夏宮くんは……彼女、作らないんだよね……?」

「うん」


 ……ん?


「……うん?」

「うん」


 ダメ押しの『うん』にお得意の笑顔がそえられると、私もつられてヘラッと笑ってしまう。

 さっきの妙な空気はどこへやら、気だるい空気が舞い戻る。


「彼氏とか彼女とか、めんどくない?」


 そうぼやいた夏宮くんの手は私のピンクのシャーペンの頭をカチカチとノックして遊び始めている。


「めんど……?」

「友達と遊ぶ時間減るし、他の女の子と話さないでーとか、ダルい」


 ……なるほど、経験者は語るってやつですね。

 私は遠い目をして「へー」と口からこぼす。

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