私を導く魔法薬

穏やかな日々

 湖まで戻ったダリアと彼はとりあえず休むことにした。

 魔王の魔力のおかげなのか彼の鎧は外れるようになったため、ダリアは彼を家に入れて湯を浴びさせた。

 その間に彼女はほうきに乗り、彼の着替えを手に入れてくることに。


「…彼、どんな服が似合うのかしら…」

 ただでさえ他と交流のない彼女は彼に合う服が全く想像できず、片っ端から店を見て回ることに。
 そしてなんとか数種類を選び終えるとクタクタになって帰っていった。


 脱衣場の隙間に、彼のために買ってきた服を押し込み言う。

「あんたの着られそうなものを選んで着て」

 ダリアはそれを終えると夢中で食事の支度に取り掛かった。

 ティータイムとともに軽食を彼に摂らせ、自分はその間に湯を浴びに行き、終わると今度は自分が食事。

 そして木々に囲まれ雨が当たらない湖のそばに、彼のベッドを用意した。


 去り際に彼からダリアへの礼の言葉を聞くが、彼女はそこであることに気付く。

 考えてみれば自分は、他族であろうとはいえ異性であるらしい彼の着替えを初めて選びに行った。
 そして彼の食事と入浴の用意をし、ともに片付けをした。

 まるで恋人同士のように…

 先ほどまでは夢中だったため気付かなかったが、今更になって変な気恥ずかしさを覚える。

 ダリアは妙な気分で後ろを振り返ることもできないまま家に戻り、自身も休む用意を終えてベッドに就いた。
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