私を導く魔法薬

導かれて…

 ダリアは新天地を目指して飛び立った。

 古びた地図を片手に三つに束ね荷物を積んだホウキを自在に操り、山を越え谷を越え、海も越えてどこまでも進んだ。


 そろそろ休もうと空から下を見渡すと、魔族の国と同じような様々な姿の者たちがいる街が見えた。

「大きな街…。この国は暑すぎないし寒すぎないし、悪く無いわ。でも少し私向きじゃないわね、夜なのに明るすぎるもの。」

 しかし少しすると明かりも少ない、少し寂れた街並みが目に映る。

「あら、暗さは充分。でも、休むにしてもまずはもう少し目立たない場所がいいわ」

 彼女にとっては丁度いい、明るすぎないその街並み。
 しかしそれは街外れの貧民街だった。

 そこを過ぎようとした時、突然魔族の国でもないはずの地で、何故か清らかな魔力を感じた。

 ダリアはそれが、眼下に広がる森から発している魔力だったことに気付く。

「…確かに私には居やすそうな森だけど…何かがあるっていうの??」

 彼女はゆっくりと森の中に降りていった。


サラサラサラ…

 静かな自然の音に導かれて辿り着いたそこは、小さな泉だった。

 ダリアは荷を降ろし、泉のそばに降り立った。

 どこまでも底が見渡せるほど透き通ったその泉から、その魔力を感じる。

 そばには朽ちかけた立て札。
 しかしもう文字はかすれ、ほとんど読むことはできない。
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