私を導く魔法薬

私の居場所

 薄暗く、手入れもされていないため鬱蒼と茂る森。
 何かあって姿を眩ませるにも都合がいい。

 しばらく歩くと少し開けた場所に出た。

「この場所に決めたわ」

 ダリアは自身のそれほど高くはない魔力で、近くの木々を使い小さな家を作った。

 近くにある泉の魔力のおかげかそれほど苦もなく家は出来上がり、先ほどの荷物を取り寄せて仕上げに内装を整える。

「…あんたにカッコ悪いところなんて、見せたりしないわ。あんたが褒めてくれたんだから…」

 彼女はポツリと呟く。

 この国で申請が通るのなら、ここでも店をやりたい。
 今度は金持ちや高魔力の持ち主だけでなく、貧民や弱い者などさまざまな者たちの助けになれるような店を…

 彼女はさらに、小さな家と繋げて店を建てた。
 皆が入りやすいよう考えた入口のある、薬品棚をたくさん置ける店。そして病人を休ませる小さな部屋。

 自分の祖先達が、まるで自分がここで店をやるために力を貸したのではないかと思うほど彼女の望み通りの店は出来上がった。


 いよいよ申請をしに、この国の王のもとへ。
 ここは魔力を持たない人族の国のため、魔族にとってこの国への移住許可は必須だと聞いたことがある。
 しかし、魔族寄りの半端者の自分が簡単に人族の国に受け入れてもらえるだろうか?

 何とも言えない不安がよぎる。

 それでも彼女は城に向かってゆっくりと歩き出した。
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