【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
(このままじゃ、駄目……。ミーティアのそばに居たら私、あの子を傷つけちゃう)

 恐ろしくなった私は、それからミーティアを徹底的に避けるようになった。

 しかし同じ屋敷内で全く会わないというのは難しい。
 
 そんな時、転機が訪れた――。
 
 朝食の席で、突然父が、私とミーティアに向かって「孤児院へ慰問に行こう」と言い出したのだ。

『奉仕活動は貴族の義務だからな。知ってのとおり、お父さんは忙しい。だからいずれ、お前達のどちらかが、この仕事を引き継いで欲しいんだ。今日はそのための下見に行くぞ』

 
 有無を言わせず、馬車に乗せられる。始めて訪れた孤児院には、見たことのない世界が広がっていた。
 
施設に集団で暮らす子ども達。貴族社会では見られない光景。
 
 寄進を済ませ、慰問はものの数分で終了した。
 
 両親が慈善活動を面倒に思っているのは明白だった。

 しかし貴族の義務を怠るのは外聞が悪いから、誰かに押しつけたいという意図が透けて見える。

 そんな両親に向かって「次回から私が行きたい!」と名乗りを上げた。
 
 正直にいうと、当時の私に奉仕の精神があったわけじゃない。
 ただ、家に居たくなかったから、正当な外出理由が欲しかっただけ。

 両親は考え込んだあと、必ず護衛をつけること、問題が起きた時にはすぐさまやめることを条件に許してくれた。
 
 こうして私は、晴れて正当な外出理由を手に入れた。

 
 ――今思えば、ここでミーティアから距離を取れたことで、私は小説どおりの『意地悪な姉』にならず済んだのかもしれない。

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